「The Art of Marketing」を読んで。まとめ。

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おすすめポイント

本書を読んでおすすめしたい人は、以下のような方だ。
マーケティング担当者」は当然のこととして、小売業やサービス業においてある部門の長を担っている方。特に上からの指示や考え方が間違っていると感じるが「何が間違っている」「どうあるべきか」が漠然としている方にお勧めしたい。

本書で書かれている「パーセプションフロー・モデル」は全体像を俯瞰できる。P&Gで磨かれたプロセスであるだけあって、実際にビジネスを動かすに当たって必要な要素が詰め込まれている。

マーケティングに関する本を読んでも、「一担当者の納得」を実際の仕事に反映していくのは難しいことがある。ことさら「マーケティング」という分野は経営全体と密接にかかわる仕事であり、トップマネジメントの理解を得ることが必要になる。

「パーセプションフロー・モデル」においては、マーケティング活動の全体像について俯瞰しているため、トップマネジメントとのコミュニケーションが円滑になり、活動全体の決済を取りやすいメリットがある。さらに会社の機能である各部門とのコミュニケーションに活用しやすく、マーケティング活動が進みやすくなることは間違いない。

要約

本書は、筆者である音部大輔氏がP&G時代に確率した手法「パーセプションフロー・モデル」についての説明している本である。

「パーセプションフロー・モデル」とは、消費者のパーセプション(認知・認識)をいかに変えるかを戦略としてまとめる手法。

 

主題はタイトルの通り「アートオブマーケティングマーケティングの技法)」についてである。
マーケティング活動にはあらゆる側面があり、あらゆる活動がある。複雑極まるマーケティングをうまくまとめ指揮することが大事という話であり、「パーセプションフロー・モデル」はその制度を高められる手法である。

「パーセプションフロー・モデル」によって、マーケティングの全体像と各活動の目的が明文化される。それによって、マーケティング活動全般におけるコミュニケーションを円滑かつ正確に行えるようになる。

そしてももっとも重要なことは、「パーセプションフロー・モデル」を導入することによってもたらされるもっと重要な効果が「同一の定義の消費者」を主語としてコミュニケーションできること。
そもそもマーケティング活動から、「消費者」が消えてしまわないことにある。

 

パーセプションフロー・モデルを実践しよと思ったときに下記のテンプレートを利用すると便利だ。

https://www.coupmarketing.jp/framework/perception_flow_template.pdf

著者の音部大輔氏が代表を務める、「株式会社クー・マーケティング・カンパニー」が配布しているテンプレートなので、本書内ででてくる資料と同じものが使える。

Coup Marketing Company inc. | クー・マーケティング・カンパニー

 

 



ハンバーグ専門店:競合店を考える

実際にハンバーグ専門店をやる場合、どのようなことを考える必要があるか。

開店準備としては主に「立地・物件」「商品」「許可」「資金」の4点だろう。

 

最初に考えなければいけないことは、「立地・物件」「商品」である。

どこで何を売るか。それがこの後の成否を分ける。

出したい立地にくるお客様が、出したい商品と一致しているのか。そこを深く考えなければいけない。出したい立地の周りに競合店はいるのか?

筆者の住んでいる北海道でハンバーグといえば、まずは「びっくりドンキー」だろう。リーズナブルで美味しい。私もよく使っていたお店だ。

びっくりドンキー」と圧倒的に差別化するのであれば、びっくりドンキーを詳しく知る必要がある。

まず立地である。交通量の多い道路沿いにあり、駐車場は広めだ。札幌市の店舗の距離感を見ると、2.5キロほどに見受けられる。商圏範囲は1.5キロほどでみているのはないかと推測する。

脱サラして飲食店開業の難しさ

今も昔も「脱サラして飲食店」は、サラリーマンを惹きつける。

それは「食」という馴染み深いことが原因か。それは「一国一城の主」という立場が魅力なのか。

だがそれは、とても魅力的でとても残酷な魔物だ。

 

ネットニュースで興味深い記事を見つけた。

「23時まで営業、定休日なし…それでも赤字」夢の焼きそば店に挑んだ25歳元証券マンの想定外(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース

 

つぶれる飲食店の多くは「味に自信があった」という。馴染み深いがゆえに、美味しいものがわかる。美味しいほうがいいと思ってしまう。

それは本当に危険な罠だ。

一つ目の罠。飽食のこの時代に「まずい店」など探すほうが難しい。だいたいのお店がうまいものを出している。

二つ目の罠。美味しいは「主観」である。おいしいとは「嗜好」である。なぜか人はそれを忘れる。自分の妻とすら好みの違いがあることを忘れてしまう。

三つ目の罠。「美味しい=売れる」と思ってしまう。あなたがものを買うとき、本当にいいものを取り扱っているお店にいくだろうか?使いやすいお店だったり、欲しいものがあるお店にいくだろう。客がえらぶのは「客にとっていい店」であって、「性能がいいものがあるお店」ではないだろう。まして「店主にとっていい店」ではない。客にとっての良さは千差万別である。

四つ目の罠。「売上=儲ける」ではない。特に飲食業やサービス業は、売上に比例してコストが上がる傾向がある。儲けることは、売上とも味とも別の観点が必要である。

 

ニュースの男性はまさにすべての罠にかかっているように見受けられる。

 

とはいえ、行動力こそが重要で、実際に行動しただけで十分素晴らしいことである。さらにあきらめずに学習して、挑戦して、成功までたどり着いたらもっと素晴らしいことだ。

 

さて、焼きそばの専門店というのは、実際どうなのだろうか。

まずあまりに家庭食もしくはお祭りで食べる印象が強すぎる。一定の需要があるかもしれないがニッチであるのは間違いない。

次にそんなニッチ市場において、ソースのみで行くというのはニッチオブニッチである。すし屋でいうなら「マグロの軍艦のみ」というレベルだ。証券会社なら、「車業界の株のみ」を扱うレベルだろう。

どうしてもそこで戦っていくのであれば、「圧倒的強み」を形成しポジションを確立しなければいけない。「マグロの軍艦のみ」ならマグロの養殖をしてるとか、大間のマグロ漁師のお店とか、店主が一本釣りしたマグロとか。

「車業界の株のみを扱う証券会社」なら、トヨタの元社長がやっているとか。それなら車関係の部品メーカーなどのいいものを紹介してくれそうな期待がある。

ソース焼きそばのみ」のお店では・・・申し訳ないが筆者は全く思いつかない。

あなたは思いつくだろうか?

 

ニッチ戦略の主戦場はインターネットだ。それは、ニッチなものでも一定の市場を形成しやすいことにある。

飲食店は基本的には地に足付いた業種だ。「売れる場所」が大事。もちろんインターネットでの集客もあるが、その人が自分の足でたどり着く必要がある。

わざわざ行きたいお店ならアクセスが悪くても許される。焼きそばは生活圏にあればよるかもしれないお店だろう。焼きそばでわざわざ行きたいと思わせる仕掛けが必要。

それが味だけで作れるのかということをしっかりと考えなければならない。

そもそも美味しいとは何かを考えなければならない。

 

かくも奥深きかな飲食業。

業態候補:ハンバーグ専門店

今の状況下で飲食店を開業するなら、ハンバーグ専門店はどうだろうか。

アルコールの需要が減っている現状で居酒屋業態はリスクが高すぎる。

食事メインの業態が良いだろう。

 

コロナ渦中において、「ラーメン(特に家系が出店ラッシュ)」「焼肉」が強かったのは飲食業界の方々には周知の事実だろう。

参考までに上場企業の「株式会社ギフト」は2020年決算、2021年決算のどちらでも営業利益が出ている。資金力があるなら、こういった好調企業のFC出店も悪い選択肢ではない。

 

しかし、ここでは個人店の出店を想定しているため、FC出店は初期資金が高くなりすぎる。個人で出せる範囲でスタートできること。その上で戦える業態を選んでいく必要がある。

経験上、肉系の業態がいい。肉は外食感が強くでる。外食感が強いということはハレの日利用を獲得でき、ハレの日はマーケットが縮小している状況でも一定の利用は期待できるのである。

 

小さい規模のお店で戦っていくには、味と価格以外の部分でも強烈に差別化していかなければならない。それが肉料理だと作りやすい。調理過程で炎がでる。アツアツの状態で提供できる。いわゆるシズル感の演出がやりやすいのである。

さらにハンバーグはステーキよりも原価のコントロールがしやすい。商品の状態を安定させやすい。先に「味と価格以外の差別化」と言っておいてなんだが、当然ながら「味と価格」を徹底的に磨きこむ必要がある。それがステーキよりもやりやすい、と個人的には考えている。

 

実際、ハンバーグ専門店をやるならどんなことを考える必要があるか。

それは次回以降に書いていこう。

原価の高騰

原価の高騰が激しい。

マクドナルドでポテトがなくなったのは記憶に新しい。

フライドポテトの不足は、芋を作る段階での天候による影響。

流通の段階でのコロナの影響などがある。

フライドポテト不足広がる…日本やアフリカ・ケニアで=韓国報道(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース

コンテナ不足や物流混乱 解消の見通し依然立たず 海運大手3社 | 新型コロナ 経済影響 | NHKニュース

 

コロナによる巣ごもり需要で、物流が増えているが人手が不足しており、結果的に滞る状況。それにより、コンテナな不足している。

 

コンテナの不足によって、現在お店で出しているワインが卸業者の方で欠品することが出ている。同価格で代替品が見つかればいいが、そう都合よくいかないことも多い。

お店側が原価高騰を受け入れるか、味を妥協するか、価格転嫁するか。いずれにせよ今まで通りではいかない状況が多発している。

 

サントリーのウィスキーも値上げが決まっている。

ウイスキー 一部商品の価格改定について 2021年11月29日 ニュースリリース サントリー

値上がりする商品は、「響」「山崎」「白州」「知多」「ザ・マッカラン」「グレンフィディック」「ザ・バルヴェニー」「タラモアデュー」。うちでやっているBARでも主要な商品たちだ。

コロナで客足が遠のいているなか、主商品のウィスキーの値上げは手痛いところである。

国産ウィスキーの値上がりは、海外での需要の高まりが原因だが、海外ウィスキーの値上がりはこちらも物流の混乱と原材料高の影響と思われる。もちろん中国の購買力はすべての原料の値上がり大きな影響を与えている。

 

お肉の値上がりも止まらない。ミートショックなどと言われいる。

牛丼もステーキも値上げ ミートショックについて知りたい10のこと:日経ビジネス電子版

結局は人手不足、飼料価格の高騰=農作物の不作もしくは作付けの減少によるものだ。

人手不足はコロナの影響。不作は天気の影響。作付けの減少もコロナで需要が減った2年間の影響で急な需要の増加には耐えられないわけだ。

 

さらには、豚コレラである。欧州もアジアでも広がっている。

うちのイタリアン業態でもイタリア産の生ハムの欠品について、卸業者から連絡が入っている。

ウクライナ問題による、原油やガスの高騰は結果的に農作物の高騰につながる。

全くもって苦難の時である。変化を迫れるている。

実に劇的な時代を生きているものだ。

 

何屋をやるか?

何屋をやるか。それが一番最初の問題だと思う。

 

やはり、マーケットの大きい業態をやったほうが良い。

今努めている会社のメインの業態は「焼肉」である。

コロナ前の売上は右肩上がりだったし、コロナにおいても底堅い売上を維持できている。

それはやはり業態事態に強みがあったからだ。

マーケットが大きいということは「競合店」も多いということだが、競合店との競争の中で勝ち抜けないのであればそれはやらないほうが良いだろう。

もし、ニッチな業態をやるならば、それをやるだけの覚悟と強みが必要だろう。

 

業態に関しての国内の動きについては、下記を参考にされるといい。

一般社団法人日本フードサービス協会

ホットペッパーグルメ外食総研「すべての人に、食で笑顔を。」

 

穏やかにではあるが、外食の機会も回復し、客単価も上がっているように見受けられる。

ここからは、筆者の推論だが、おそらく以前のような外食のスタイルには戻らないだろう。一度変わってしまった生活様式は、戻るということはない。

では外食産業が縮んだままかというとそれも違う。

いままでとは違う形で復活するだろう。

それは、なににいくら出すかという価値観と単価の違いかもしれないし、誰とどういうときに行くかという利用シーンの違いかもしれない。はたまた、それは外食でも内食でもない形で現れるのかもしれない。

それらを素早く察知し適応したものが成長をつかむのは間違いない。

コロナによって人々はテレワークをしった。おそらくほとんどの人はオフィス勤務にもどると思う。(それが日本のお国柄だから)
だが、テレワークで使用したツールの便利さは忘れない。なによりも、「対面しないことが普通」に思える価値観の変容が一番の変化であり、部分的なテレワークは今後も続いていく要因である。

 

話はそれてしまったが、飲食店においては、会社の飲み会が開催されないということは大きな価値観の変容といえる。

コロナによる規制がなくなったとき、それらが人々にどのような変化を及ぼすのかは定かではないが、二年間飲み会なしでやってきたという事実が飲み会の強制力を弱めるかもしれない。

そうなったとき、今落ち込んでいる「居酒屋」の状況は継続的な問題となるだろう。

しかしながら、人間は食をともにしたときに愛情ホルモン「オキシトシン」がでるという。これは本能的なものであり、一度誰かと食事をともにして幸せを感じ人の心には「誰かと食事を共にしたい」という欲求があるはずである。

職場でのつながりが希薄になれば、人は家庭でのつながりを求めるかもしれない。そうなれば家族での外食シーンが増えるだろう。もしかしたら、友達とのつながりを求めるかもしれないし、そうであれば友人との外食シーンが増えるだろう。

それらをいかに取り込み独占するかが「戻り切らないマーケット」では重要になるだろう。

 

とはいえ、筆者は人とのつながりを求めないたちなので、この先人々がなにでつながりの欲求を満たすのか皆目見当がつかないのであるが、、、

このブログについて

これは飲食店マネジャーが自分の独立に向けて学習したことを

同じ志を持つ人の参考になればと思ってつづる日誌。

 

飲食店の開業そのための準備を実際に自分の準備と合わせてお伝えしていければと思う。

 

何屋をやるか。

いくら借りるか、どうやって借りるか。

仕入はどうするか。

オペレーションはどうするか。

店内レイアウトはどうするか。

従業員の採用はどうするか。

教育はどうするか。

 

飲食店を開業するには様々な悩みがあると思う。

それを超えて一歩踏み出す人が一人でも多くなるように。

自分で起業しビジネスする人が一人でも多くなる社会になるといいなぁと思っている。

その助けに自分の経験や知識が役に立てば光栄だ。